2008年08月09日

『短編バイロン詩集』39戦死を悼む

  第三十九、戰死を悼む
  ==己が近親なるパーカー將軍の討死を悲しみて==

  (一)

あらゆる死者にも一滴の涙は濺がれ
貧しき墳墓にも一の哀傷者あり、
されど全國民擧つて葬儀の悲愁を洩し、
而して凱旋トライアンフはその勇士の戰死を悼む

  (二)

彼等には、太洋の高まる胸を越へて、
送られし悲哀ソーローのCき嘆げきあり、
彼等の屍は葬られずに横はることなく
全地球は彼等の記念碑となる

  (三)

あらゆる記録に彼等の墳墓あり、
あらゆる口舌の彼等の碑文あり、
現在の時日、過去の年月は
長へ彼等と悲しむなり。

  (四)

温厚なる記憶レメンブランスの、價値ウオスに、
酒盃の貢献物を注ぐ間は、
只た單に彼等の名の響きは、
彼等故に歡宴の音聲を鎭む。

  (五)

多くの人々に知られざるものゝ、
而かも尊むべき敵によりて哀悼せらる、
誰か光榮ある彼等の運命を分くるを欲せざらん?
誰か彼等の如く勇ましく死するを願はざらん?

  (六)

あゝ忠勇なるパーカー!御身の生命
御身の戰死、御身の名譽は斯く不滅となり。
年少の豪邁は、輝きて、
御身の記臆の内に一の模範を見出すべし。

  (七)

されば、御身と共に鮮血に染みし胸體あり、
悲哀故にて、其光榮を滅する能はず、
而して最もいとしき、最も勇敢なる軍人の、
斃れし處に戰慄しつゝ勝利を聞く。

  (八)

何處に向つてか人々は御身を嘆かざらん?
何れの時が敬愛されし御身の名を聞かざん?
哀傷グリーフに滿てる心情の名譽フヱームに養はるゝ間は、
時日タイムは決して忘却を教へ能はざるなり。

  (九)

あゝ!例令御身故に非ざるも彼等の爲めに、
人々は一層多くの涕泣せざるを得ず、
既往に於て何等の嘆きを與へざる
此戰死者を深く/\悲まざるべからず。

底本:
国立国会図書館 近代デジタルライブラリー『バイロン詩集』115コマ〜


posted by 天城麗 at 00:00| Comment(0) | 短編バイロン詩集 | 更新情報をチェックする
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