2008年07月21日

『短編バイロン詩集』20御身は僞ならざれど変り易し

  第二十、御身は僞ならざれど變り易し

  (一)

御身の深く愛する人々に、
御身は僞ならざれど、變り易し、
強いて流せし御身の涙は、
變り易すき心よりも遙かににがし、
御身の悲しむ心情こゝろを破るは、
御身の愛し過ぎて─忘れ易すきが故なり。

  (二)

心情こゝろは凡ての僞を嫌ひ、
虚僞と虚僞者を厭ふ、
されど飾なき心を存する女は、
その愛優しく眞實なり──
誠に愛せし人は彼女かれ戀ゆる時は、
新に我れ感ぜし如く、感ずるなり。

  (三)

嬉しき夢を見、醒めて後嘆ずるは、
生者愛者の避くべからざる運命さだめなり、
而して假令翌朝に自覺さとりしとて、
醒めし心は一層淋しさを感じ、
只だ睡眠のみ僅かに慰むるとの、
その想像を我等は許し難し。

  (四)

空虚あだなるまぼろしにあらざる、
眞實にして優しき愛情を懷く其人を、
如何に人々に思するならん、そは恰も、
獨り夢に於てのみ樂しみ得し如きものか、
あゝ斯の如き憂愁は想像の假計にして、
あらゆる御身の變化は只だ夢幻に過ぎざるのみ!

底本:
国立国会図書館 近代デジタルライブラリー『バイロン詩集』62コマ〜


posted by 天城麗 at 00:00| Comment(0) | 短編バイロン詩集 | 更新情報をチェックする
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